日本は世界に先駆けて超高齢社会へ突入し、総人口の約3割が65歳以上という過去最高を更新しました。50年後には高齢化率40%に達するといわれています。
介護を取り巻く人材不足は深刻化する一方で、働く意欲やスキルを持つシニア層は年々増加しています。
本記事では、特別養護老人ホーム「柏こひつじ園」でシニアの力を地域と介護現場に生かす 「生きがい就労」 モデルを構築した馬場眞子さんの取り組みを紹介しながら、これからの介護と地域共生のヒントを探ります。
企業経営者・自治体担当者・介護従事者だけでなく、セカンドキャリアを模索するシニア本人にも役立つ情報をお届けします。
2010年 |
2024年 |
増減幅 | |
---|---|---|---|
総人口に占める 65歳以上割合 | 23.0% |
29.3% | +6.3pt |
65歳以上就業者数 | 720万人 | 914万人 | +194万人 |
生産年齢人口 (15〜64歳) | 8,154万人 | 7,320万人 | -834万人 |
見出し | ここをクリックして表示したいテキストを入力してください。テキストは「右寄せ」「中央寄せ」「左寄せ」といった整列方向、「太字」「斜体」「下線」「取り消し線」、「文字サイズ」「文字色」「文字の背景色」など細かく編集することができます。 | ここをクリックして表示したいテキストを入力してください。テキストは「右寄せ」「中央寄せ」「左寄せ」といった整列方向、「太字」「斜体」「下線」「取り消し線」、「文字サイズ」「文字色」「文字の背景色」など細かく編集することができます。 | ここをクリックして表示したいテキストを入力してください。テキストは「右寄せ」「中央寄せ」「左寄せ」といった整列方向、「太字」「斜体」「下線」「取り消し線」、「文字サイズ」「文字色」「文字の背景色」など細かく編集することができます。 |
上表のとおり、15〜64歳人口が10年余りで800万人超減少したのに対し、65歳以上の就業者は200万人近く増加しました。つまりシニアの働く力がなければ、日本の経済と地域サービスはすでに回らない段階に来ているのです。
特に介護・医療・運輸・建設など労働集約型の産業では、人材確保が事業継続の生命線となっており、シニア雇用の推進は待ったなしのテーマと言えます。
こうした状況を受け、2021年4月に施行された「改正高年齢者雇用安定法」は、企業に対し「70歳までの就業機会確保」を努力義務として課しました。
さらに、65歳超雇用推進助成金・特定求職者雇用開発助成金(生涯現役コース)など、制度整備や環境改善に応じて最大160万円が支給される助成策も拡充されました。
企業側もこれを好機と捉え、専門技能やマネジメント経験を持つシニアを「即戦力かつ人材育成の担い手」として採用する動きが加速しています。
「生きがい就労」導入の直接的な動機は「介護職員の業務負担軽減」と「地域との共生」だったそうです。柏こひつじ園ではユニットケアを“施設”ではなく“家”と位置づけ、入居者が自宅同様の生活リズムを保てるように朝食や家事を個別対応する方針を採用。
しかしこれにより介護職員の負担が増大してしまいます。そこで馬場眞子さんは“元気な地域シニア”に生活援助(調理補助・園芸・洗濯掃除・ティーサロン)を委ねるモデルを発案します。豊四季台団地は高齢化率が35%超(当時)で、一人暮らし高齢者も多い地域だったそうです。
掃除や洗濯はボランティアスタッフを活用しているところも多いですが、馬場眞子さんは介護職員と同じ6か月更新の非常勤職員扱いで雇用。ワークシェアリングで1人あたり1日2〜3時間勤務、賃金は千葉県最低賃金以上、有給休暇も付与されます。短時間・低負荷・有償という条件が、働き手の継続率とモチベーションを高める鍵になっているようです。
シニアスタッフはみなさん近隣在住者。勤務を通じて住人同士が支え合うつながりが生まれ、虐待防止や情報共有につながっています。
ティーサロン来訪者の大半は地域住民で、高齢者の変化がタイムリーに施設へ届く仕組みを構築。地域包括ケアや介護支援事業所との連携も円滑化しました。
そう感じる方がいるかもしれませんが、現場には家事経験を活かす軽作業や、レクリエーションを支える役割など、短時間・低負荷で始められる仕事が多数あります。ほどよく体を動かし、人と話し、頭を使うことは、フレイルや認知症の予防にもつながります。